ヴィエラス首長国で暗殺ギルドに所属していたクロノは、命じられるままに見も知らぬ相手を殺す日々を続けていた。
ひとえに、生きていく為に。
そんなある日、暗殺ではなく誘拐をギルドより命じられたクロノは目標であるマリア・ウォーキンスを速やかに拉致する。
ヴィエラス首長国重鎮の娘であるマリアをしばらく預かることとなってしまったクロノは、当初世間知らずのお嬢様だと思っていた。
だがその少女と接し人となりを知っていくにつれて、クロノは自分の中にこれまでなかった何かが芽生えていくことを自覚する。
そんな日々が続いたある日、同じ暗殺ギルドの人間がマリアに手を出そうとしてしまう。
そしてクロノは咄嗟にマリアを庇ってしまった。だがそれはギルドに対する裏切りを意味する。
クロノはマリアを連れてヴィエラスから逃げ出すことを決意する。
軍に、ギルドに追われる日々を掻い潜り、二人は国外へ逃亡。その行き先はレインファリア共和国だった。
以前と同じでどこか違う。『生きる為に』少年は戦う。

不運を呪い、絶望を唾棄し、理不尽を怒り、悪を憎んだ。
ルスト・レイドは過去のとある事件から悪という存在を許さず、それを討つためだけに強くなった。
だがそんな日々を続けていくにつれ、そんな負の感情を背負ったまま戦っていてはいずれ自分も同じ道を辿ることも理解した。
悪は討つ。無論その姿勢は変わらないが、もっと世界や自分と向き合い考えながら生きていこうと彼は決めた。
そんな風に旅をしながら目に着いた悪事を行う者たちを潰していたら、いつの間にか彼は一人ではなくなっていた。
とある国のお転婆王女、アクセル。魔法生物学の結晶、プラチナ。
いつしか三人となった一行は諸国を旅しながら犯罪者を叩き続け、『賞金稼ぎ』という職が世に出始めた頃には有名になっていた。
一時、サレンダント帝国に落ちついて賞金首を狩り続けていたが、彼らを恐れていつしか帝国から犯罪者は姿を消してしまっていた。
だから彼らは行く。新たな『悪を討つ為に』、違う国へと。そしてその行き先はレインファリア共和国だった。

アイン・ソルバティアは恵まれていた。生まれも、育ちも、家族も、友も、才能も、何もかもに愛され、そして不自由なく育っていった。
理不尽も知らず、恐怖もなかった。しかし、そんな彼女だからこそ人一倍『平和』というものの大事さを知っていた。
だから彼女は立ちあがる。
自分の理想のため、何より『平和』を愛し、そして誰もを世界の理不尽から守るため、ギルド『デルタファイア』を設立した。
平和を守る。ありきたりなフレーズだが何よりも難しい理想を綺麗事だと言う者もいたし、馬鹿にする者もいた。
しかしアインはただひたすらに動いた。困っている人を、泣いている人を、助けを求める人をただただひたすら救い続けた。
そうしているうちにギルドにはいつしか人が増え、いつの間にやらレインファリア共和国でも名の知れたギルドへと成長を遂げていた。
誰にも慕われる兄貴分のミルドレットや、歳は若いが多くの知識を持つ参謀役のリッターなど、頼れる仲間と共に今日もアインは行動する。
例えそれがどれだけの悪意であろうとも、人と国を『守る為に』、アインはレインファリア共和国で力を振るうのだ。

ミドガリア王国で近衛騎士団長を務めていたリヴィア・ライナットはとある事件で、世界の真相とも呼べる、ある事柄を知ってしまった。
それは、ともすれば知らなければ良かったと思える事であり、そしてこの世界そのものに絶望してしまうには十分すぎる事でもあった。
だが彼は絶望するだけではなかった。嘆くだけで終わるような男ではなかった。
心を殺し、リヴィアは決意した。――こんなふざけた真実など壊してしまおう、と。
故に、彼は慕っていた恩師をもその手にかけ、守り続けた祖国も捨て、たった一人世界に反逆する。
だがそんな彼の背についていく物好きも少なからずいた。
そうしてリヴィアたちは戻れぬ一歩を踏み出した。世界を敵とし、その真実を『破壊する為に』。
そしてそのためには……LL(ライナーレベル)13にカテゴライズされる者を殺す必要がある。
リヴィアが目に着けたのは、クロノ、ルスト、アインの三名。
その三人が偶然にも集おうとしているレインファリア共和国に、彼もまたその足を向けた。

それぞれの戦い、それぞれの使命、それぞれの目的。
全く違う生き方をしてきた4人の“主人公(ヒーロー)”の道が交錯する時、物語は始まる。
それは運命か、あるいは誰かの思惑か――。